未経験からシナリオライターになるには

シナリオ

スマートフォンアプリによってゲームがかつてなく身近なものになり、「ゲームのシナリオライター」という職業もよく知られるようになりました。

シナリオライターを目指している人も、それなりに多くいるのではないかと思います。

しかし、「一体どうすればシナリオライターになれるのか?」という部分については、よくわからない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、現役でシナリオに携わっている私自身の経験も踏まえつつ、「未経験からシナリオライターになる方法」について詳しくご紹介します。

まずは自己紹介

「シナリオライターになる方法を解説するよ!」と言っても「その前にお前誰やねん」という感じなので、まずは軽く自己紹介から。

PN:藤田みさ
職業:プランナー/シナリオディレクター/シナリオライター
勤務形態:内勤(正社員)
※PNはこのブログ用

仕事内容について細かく見ていくと、

1、プランナー
・キャラクター設計や世界観の構築
・ゲーム内イベントのテーマ、キャラクター選定 など

2、シナリオディレクター
・プロットの作成
・外注ライターへの発注、FB
・シナリオのクオリティ管理(編集・修正) など

3、シナリオライター
・プロットの作成
・シナリオ執筆

このように分けることができます。
企画部分から実際のライティングまで、シナリオ作成の全般に携わっている立場です。

それでは、本題に入っていきましょう。

シナリオライターになるにはどうすればいいのか

結論から言うと、「未経験ならまずはサンプルシナリオを作れ」です。

未経験からシナリオライターを目指すなら、まずは未経験可のシナリオライター求人を見つけて応募することから始まります。

ライター志望者は以下の3タイプに分類できるかと思いますが、いずれにしてもサンプルシナリオを用意しておくことが超!重要です。

  1. シナリオや小説など、創作物的なライティングをしたことがない
  2. 個人的に(同人や投稿サイトなどで)作品を書き上げたことがある
  3. シナリオライターとしての経験はないが、小説家として商業実績がある

ライターになる上で有利なのは【3>2>1】の順番です。

しかしいずれにしても、応募時にサンプルシナリオを必須もしくは任意で求められることが大半なので、シナリオライターを目指すならまずは提出用のサンプルを作りましょう。

※サンプルシナリオの書き方については、後日別の記事で書きます。

続いて、それぞれについて採用までの流れを見ていきます。

シナリオも小説も書いたことがない完全未経験の場合

こういった方の場合、応募時点で提出されたサンプルシナリオをもとに、書類選考が行われるのが一般的です。

サンプルを見て「未経験だがシナリオを書く力はありそうだ」と判断されたら、次にNDA(秘密保持契約)を結んでトライアルへ進むことになります。

よくあるパターンは、応募先の会社が運営しているタイトルの中からいずれかと、キャラクター、テーマを指定され、短めのシナリオを書くというものです。

この段階ではキャラ設定などの資料も渡されるので、シナリオを書く能力のほかに、キャラクター理解・把握能力がどれくらいあるかにも注目されます。

トライアルで問題ないと判断されたら正式採用です。

個人でシナリオや小説を書いたことがある場合

この場合もサンプルシナリオの提出はほぼ必須ですが、オンラインで公開している作品がある場合は、追加資料としてそちらのURLもしくはデータを送ることも可能です。

ただ、覚えておいていただきたいのは「小説とシナリオは似て非なるものである」こと。

最近は地の文なしで、キャラクターのセリフのみで話を進行していくタイプのゲームも多いため、地の文ありきの小説をサンプルとして送られてきても「で、シナリオは書けるの?」と疑問に思われてしまいます。

また、ライターの採用可否を判断する人はたいてい忙しいので、小説を送るならさらっと目を通せる短編にしておきましょう。

サンプルシナリオの出来が良いなど、筆力がある程度高いと判断されると、ゲームへの実装を前提にしたトライアルになることもあります。

※トライアルの2パターンについては後述します。

ゲームシナリオは未経験だが、商業出版などの仕事実績がある場合

仕事として物語を書いたことがあれば、ゲームシナリオの制作経験は乏しくとも、プラスに評価される傾向があります。

特に、長編を完結させた経験のある方なら、「メインシナリオを任せられるかも?」とポテンシャルを感じてもらえるかもしれません。

会社によってはサンプルシナリオの提出なしでトライアルから……と、少し選考段階をスキップできる可能性もあります。

 

未経験なら、とにかく「サンプルシナリオ」を作ろう

(1)〜(3)にパターンを分けて書きましたが、結局のところ、未経験からシナリオライターになる上で一番重要なのは「サンプルシナリオを作ること」。これに尽きます。

シナリオライターの採用において企業が重要視するのは、実績です。

シナリオライターは力量を数値化するのが難しいため、実績を見て「この人は色々なところから長期的に依頼を受けているから上手なんだろうな」などと判断する目安になっています。

しかし、未経験の場合には、力量の指標となる実績がありません。

その代わりに、サンプルシナリオを提出して「私にはシナリオを書く能力がありますよ」と証明する必要があるのです。

「サンプルを作るのは面倒だな」と思うかもしれませんが、避けては通れない部分なので、とにかくまずは書いてみましょう。

トライアルの種類について

サンプルシナリオで、シナリオを書く能力の有無を確認したあとは、トライアルシナリオに進むのが基本的なパターンです。

トライアルは有償の場合と無償の場合があります。

無償トライアル

(1)や(2)など、シナリオライターとしての経験がなく、仕事としてライティングを問題なくできるのかを確かめたい場合は、無償トライアルになることが多いと考えておいてください。

無償なので実際にゲーム中で使用する予定はなく、純粋に力量を確認する目的で行われます。

ただし、「トライアルで書いたシナリオが採用され、ゲームに実装されるのに無償」というケースはやや悪質なので、無償トライアルの打診があった場合には、

  • トライアル目的のみで、ゲーム中では使用しないか
  • トライアルシナリオが採用になった場合は所定の原稿料が支払われるか

こういった条件面についてしっかり確認しておきましょう。

有償トライアル

(2)や(3)に該当し、シナリオを書く能力がある程度高そうだと判断されると、ゲームに実装することを前提としたトライアルを依頼されることがあります。

正式採用前の最終チェックという意味合いが大きく、トライアル料金で単価が少し安めに設定されることが多いですが、所定の原稿料が支払われます。

会社により細かな料金設定は異なりますが、正式採用時に対して、文字単価マイナス0.2〜0.5円くらいだと考えておけばOKです。

シナリオライターになる方法

未経験からシナリオライターになる方法は、主に以下の2つです。

  1. 未経験可のシナリオライター求人を見つけて応募する
  2. シナリオライター養成学校に入る

ここまでは、自分で求人を見つけて応募する場合の流れについて説明してきましたが、シナリオライター養成学校/講座で学ぶという手もあります。

  • シナリオライターになりたいけれど、シナリオを書いたことがほとんどない
  • そもそもどうやって書けばいいのかわからない
  • いきなり応募するのは不安
  • まずはしっかり勉強したい

こういった場合には、独学・自力でシナリオライターを目指すのではなく、学校などで学ぶのも有意義だと思います。

私は養成講座などを受けていないので実情について細かいことはなんとも言えないのですが、在学中から仕事をもらえることもあるそうです。

学びながら実績作りができてライター志望の仲間も作れるというのは、学校や講座ならではの大きな利点ではないかと思います。

(フリーのライターだとほとんど人にも会わず孤独なので、仕事のことを相談できるライター仲間がいるとかなり心強いです!)

おまけ:ゲーム業界の別職種から転向する

ちょっとした奥の手なのですが、最初からシナリオライターを目指すのではなく、まずはプランナーやディレクターなどゲーム業界の別職種に就いておいて、そこからライターへ転向するという道もあります。

実は、ゲームのシナリオは全てシナリオライターが書いているのではなく、プランナーやディレクター、時にはプロデューサーが書いていることもあります。

そういった、シナリオライターと少し仕事範囲が重なる職種を狙ってまずは就業するのも手です。

ただし、プランナーやディレクターは、企画力のほかにイラスト/シナリオ/仕様書/KPIなどいずれかに対する知識を求められることが多いので、そういった技能が何もない状態だとかなり厳しいかと思います。

結局のところ、未経験可の案件を見つけて応募するか、学校・講座などを介して仕事を得るかが主な手段です。

未経験の壁を乗り越えよう

シナリオライターを目指す人が最初に躓くのは、「実績を作るためには実績が必要」ということでしょう。

未経験可のシナリオライター求人には1日で数十件もの応募が殺到することもザラで、倍率はかなり厳しく、最初の実績を作るまでに苦労をする人も多くいます。最初のハードルを乗り越えられずに諦めてしまう人も少なくありません。

しかし、商業シナリオでの実績が一つでもできると、応募できる案件が一気に増えて仕事も見つけやすくなります。

繰り返しますが、まずやるべきはサンプルシナリオの作成です。

未経験可の求人を見つけたときすぐに応募できるように、サンプルシナリオを作っておきましょう。

そして、採用されたら納期をしっかり守りきちんとレスポンスするようにしましょう。

シナリオライターとして仕事をもらっても、飛んでしまう(音信不通になりシナリオを提出せずバックレる)人もちょくちょくいます。

納期を守る、遅れそうな場合には早めに相談するだけでもかなり信頼されると思いますので、最初の大変な時期を乗り越えて、ぜひシナリオライターとしての一歩を踏み出してみてください!